e-learningは、いつでもどこでも実施可能な学習形態であるが、それ故に、
学習者の学習スタイル、学習特性によってはうまく機能しない場合がある
そんな問題に切り込み、学習者の学習スタイル特性と学習行動の相関について
調べた研究がありました。
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e-Learningにおけるアダプタビリティと学習スタイル
永田奈央美、岡本敏雄
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学
IEICE technical report. Education technology
Vol.106, No.364(20061111) pp. 55-60
ET2006-60 社団法人電子情報通信学会 ISSN:09135685
http://ci.nii.ac.jp/naid/110005717534/
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●抄録
本研究はe-Learningのコンテンツ構成原理および個人差に関する研究である。
構成原理は、いわゆるID (Instructional Design)に関わるものであり、
個人差は"adaptability"もしくは"personalization"の問題である。
今回は、学習者個人差特性の一つである「学習スタイル」を取り上げ、
e-Learningコンテンツの構成特性との関連から分析・検討する。
それによって学習者の実際の学習行動特性と学習スタイルを明らかにした。
さらにコンテンツ構成特性と学習スタイルとの関係も明らかにした
。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110005717534/
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▼自分なり要約
●研究の目的
学習者の学習対とe-Learningの関係を明らかにすることを試みたのが本研究の
目的である。
●学習行動特性の分析
本研究では、学習者の学習時間とアクセス回数に着目した。
即ち、
学習時間 多い アクセス回数 多い 分散的長時間学習
学習時間 多い アクセス回数 少ない 集中型学習
学習時間 少 アクセス回数 多い 分散的小時間学習
学習時間 少 アクセス回数 少ない 放棄学習
とした。ちなみに、分散的長時間学習、こつこつ長時間学習している
タイプがテストの平均点で最高得点であり、放棄学習が最低点である。
●学習スタイル分析
アンケートにより、学習者の学習スタイルとして、「衝動型」「消極型」「受容型」「熟慮型」
の因子を取り出し各因子の得点が強いものを、その学習者の学習スタイルとした。
「衝動型」簡潔なコンテンツが得意である
「熟慮型」他と比して文字羅列型のコンテンツを得意としている。
「消極型」重量型/難易度:高 のコンテンツに対して負の相関がある。
「受容型」重量型のコンテンツに対して強い負の相関がある。
補足: コンテンツタイプ 簡潔 ⇔ 重量型
難易度 高い ⇔ 低い
(この二つは独立した要素。簡潔だが難易度の高いコンテンツも存在)
●学習スタイルと学習行動の相関
「衝動型」分散的小時間、集中的小時間のどちらかを実施する。
「熟慮型」分散的長時間学習に正の相関がある。逆に放棄学習に非常になりにくい。
「消極型」放棄学習に陥りやすい
「受容型」分散的小時間学習と相関がある。
参考
●学習スタイルを測定するツール
本研究でも利用した、学習スタイルを測定するツールILS(Index of Learning style)
http://www.engr.ncsu.edu/learningstyles/ilsweb.html
--- この記事は 中村おりお が書きました。----
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