中小企業(特に製造業)において、e-Learning はどのように役に立つ可能性を持っているのか、また、どのような環境に向いているのか、という点についての資料があり増したので紹介します。
▼中小製造業における技能教育を支援するe-Learning Systemの開発とその評価
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004690345/en
あらまし
今日,中小製造業では,教育にあてる時間的余裕が無いという問題を抱えている.本研究では,中小製造業におけるe-Learning Systemの開発とその評価を得ることを目的として,特定の企業でシステムの6ヶ月間の試用を行い,そして他企業に対してe-Learning Systemへの期待に関するアンケート調査を実施した.システムの利用前後でテストを行ったところ,テストの増加得点と本システムの利用回数との間に関連があると認められた.また,アンケート調査の結果,システムは従業員規模25~49人の企業で期待されており,さらに,教育が不十分である「単一高技能型」「多品種少量生産型」企業での活用が考えられた。
(この論文は、以下のURLからもダウンロード可能です。)
http://ci.nii.ac.jp/cinii/servlet/CiNiiLog_Navi?name=nels&type=pdf&lang=en&id=ART0007427280
この論文では、中小企業300社へのアンケートから、e-Learning System は従業員規模25~49人の企業で期待され,「単一高技能型」「多品種少量生産型」企業での活用が考えられると述べています。
人数に関しては、上記より少ない人数の場合は、わざわざシステムを導入する必要を感じられず、これより人数の多い場合は、既に何らかの形で教育システムが導入がされているので、従業員数、25~49人程度の企業が最も導入を考えているとしています。
また、製造タイプ「単一高技能型」「多品種少量生産型」に関しては、どちらも熟練工や多能工を必要としているが、その熟練工や多能工が最も忙しいので、教育に時間を咲くことが出来ない為、一度教材を作ってしまえば、教育の手間を削減することが出来るe-Learningに期待しています。(ちなみに、その他のタイプは「組立製品供給型」「製造販売メーカー型」)
また、その他の興味深い点として、25~49人程度の企業に絞った場合、システムに関して、一番問題と考えている点は、「教材を作る時間的余裕がない」事です。確かにこれらの企業は、教師となる社員自身がOJTで教育する時間的余裕をもてないためにe-Learningに期待しているのであるから、この時間的余裕に関しては最もであると考えられます。
教材制作に関しての問題。(「もっと簡単に作りたい」)に関しては、パワーポイント等の既存のコンテンツからの教材生成やビデオ映像(熟練工の作業を撮影&ち熟練工自身による解説を少し)などを利用することで、制作に関する時間を比較的短くすることが出来るのではないかと考えられます。
(また、一般的な内容や入門部分に関しては市販のコンテンツを利用するというのもひとつの選択肢でしょう)
教材に関しては、最初からあまり立派なものを作ろうと考えない方が良いかもしれません。
かってこのブログで取り上げた早稲田大学 eスクールの場合も、既存の講座を撮影し、とにかく全講座を教材化する事を優先した、と聞いています。
まずは、マニュアルでも手引書でも、既存のありものを流用し、それらをもとにしてだんだんと教材に磨きをかけていくのが良いと思われます。
最後に参考までに、弊社で取扱いの Power Point ファイルをSCORM教材に変換してくれるツールを紹介して今日はおしまいにします。
▼PPT2Flash Professional
PPT2Flashを使えば、PowerPointで作成された手持ちのプレゼンテーションや教材を、PowerPointプレゼンテーションの動的効果をそのままにFlashムービーに変換できます。
http://lms.kiban.co.jp/ppt2flash/index.html
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