前回、三井化学における2007年問題への対応を取り上げましたが、今回も同様に
製造業における2007年問題への取り組みを事例として紹介いたします。
■株式会社神戸製鋼所での事例
導入の背景
神戸製鋼でも2007年問題が1990 年代後半から表面化してきました。
元来、技能のデジタル化やマニュアル化は容易ではなく、OJTでの教育が必須だった
のですが、一人一人の仕事量が増え、仕事も複雑化してきた関係で
「教える時間がなく、教え方がわからない」といった問題が出てきた。
また、技能の多能工化が進んだため、従来型のOJTにも機能不全が感じられた。
そのため、ベテラン指導員の知識・指導ノウハウをデジタル化して保存し、後続世代に
伝承させる。また、デジタル世代の若手社員の特性に応じた、技術・技能教育の支援
ツールとしてeラーニングの導入が考えられた。
モバイル端末の利用
同社では、工場などの現場でも利用しやすいモバイル端末を採用しています。
製造現場ではほとんどパソコンを使う事がないので手軽に扱える機器が必要だった事によります。
携帯端末はソニーのPSPが採用されました。これは、メモリースティックで教材のやり取りが
可能で、無線LANなどが必要ない為、セキュリティの面の利点が考慮されたのと、
動画対応で画質が綺麗な点、および、キーボードに比べて操作が容易な点が選定理由として挙げられています。
評価と今後の展開
受講生に対する受講後のアンケートでは、実技研修におけるモバイル端末の利用について、
概ね好意的な反応を得ている。今後は、この研修方法の改善を図るとともに、新たな、
eラーニング教材の開発を進めていく事が考えられています。
■参考文献
eラーニング白書 2007/2008年版
この記事は、eラーニング白書から、テーマに沿って抽出・要約・引用したものです。
白書には、このほかにも示唆に富んだ記事や調査結果が掲載されておりますので
興味がある方は、白書もご参照ください。
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